学生が1からワイン造りに挑戦!千葉商科大学が取り組む新しい実践教育

 2022年から、新卒の初任給の賃上げを実施するというニュースを少しずつ目にするようになりました。例えば、ユニクロやGUを運営するファーストリテイリングは「初任給30万円」に設定することを発表し、三井住友銀行も初任給5万円アップの方針を固めています。同時に感じるのが、新卒社員に対する目が、ポテンシャル採用という目から、即戦力採用という目に変わっているということです。ここ数年の早期退職者数の増加もあり、育てても辞めていくのならなるべく社内の教育コストを減らしたいという意図や、新型コロナウイルスによる即戦力人材の確保が急務という点もあるのかもしれません。

 そんな時代の中で、即戦力人材を育成すべく、学生に様々な教育機会を提供しているのが千葉商科大学(Chiba University of Commerce 略称:CUC)です。千葉商科大学は千葉県市川市国府台にある大学で、社会に役立つ「実学」を教育理念とし、学生の能動的なアクションを生む実践性の高い教育を行います。

 例えば、大学オリジナルのフードメニュー開発や、学生ベンチャー食堂という学生に飲食店を起業する機会を与える取り組みに加え、千葉県のプロスポーツチームとコラボし、オリジナル商品や試合日のイベントをプロデュースするといったスポーツビジネスを実践する取り組みなどがあります。また、地元の地域活性化イベントの企画・運営を学生自ら行う取組もあり、多数の実践経験を通じて、成功と失敗を繰り返し、技能に加え社会に必要な問題発見と解決能力を養います。

 そんな千葉商科大学の学生が、新しい挑戦として2019年より取り組んでいるのが「CUC100(ワンハンドレッド)ワイン・プロジェクト」です。「CUC100ワイン・プロジェクト」は、大学の創立90周年を記念してスタートしました。キャンパス内の使われていない土地を有効利用し、学生自らがぶどう栽培を行い、創立100周年(2028年)までに千葉県市川市産ぶどう100%の日本ワインを作ることを目指すプロジェクトで、「農産物の生産から加工までの実体験を通じて農業について考える」という、学生にとっての実践的教育の役割も果たしています。プロジェクト名には、日頃から千葉商科大学が力を入れている自然エネルギー100%大学事業への貢献や、「ぶどう栽培を通じて、同窓生や地域の皆さんと100%の交流の輪を築く」という地域活性化に向けた願いが込められています。

 2023年2月7日にはその第1弾として、2022年9月に初めてキャンパス内で収穫が行われた千葉県市川市産のぶどうと、山梨県産のぶどうを合わせて醸造したワイン「Vignobles sur le campus(キャンパスのぶどう畑)」が披露されました。

今回披露されたワイン

 ワインのネーミングとラベルデザインは校内で公募が行われ、「Vignobles sur le campus」というネーミングと、間もなく100周年を迎える千葉商科大学の歴史を感じるヴィンテージ風のラベルデザインをキャンパスの写真で表現した商経学部経営学科の1年生 平岡知樹さんの作品が選ばれました。

内田茂男理事長より賞状を受け取る平岡知樹さん

 「CUC100ワイン・プロジェクト」が始まったのは、2019年に遡ります。この5年の間にプロジェクトに携わってきた新旧のメンバーは、ここまで紆余曲折の道のりだったと語ります。元々野球部のピッチング練習場だった場所を開墾するところから始まったのですが、最初は石やコンクリートなど硬い物などが埋まっていて、まずぶどう栽培を行うための土壌改良が大変だったと本プロジェクトを監督する和田義人教授や、初代の学生メンバーは振り返りました。あるメンバーは、「この土地ではぶどうを作ることはできない。」とも言われたそうです。また、ぶどうの初収穫を予定した2021年は、鳥獣害や台風によりぶどうが全滅してしまうという結果に終わり、大きな失望がメンバーを襲いました。

 しかしメンバーはそんな困難や失敗を乗り越え、2022年9月、ついに初めてのぶどうの収穫に成功しました。前プロジェクト代表の小西俊太郎さんは当時を振り返り、「2021年9月にぶどうが全滅した際に、命を扱うことの難しさを痛感した。その分、今回ブドウを収穫した際は、これまでの自分達の活動の重みも合わさって、ぶどう1房以上の重みを感じた。出来上がったワインを見た時に、自分たちの想いが未来に繋がっていると感じ、夢のような気持ちだった。」と語ると、現プロジェクト代表の谷路桜乃さんは、「夏場、暑い中汗だくになりながら作業をしたことを思い出し、収穫時はみんなでここまで育てたという重みを感じた。収穫した1房1房形が違うぶどうを見て、我が子のように愛おしく思えた。」と当時の気持ちを振り返りました。

左:現プロジェクト代表谷路桜乃さん 右:前プロジェクト代表小西俊太郎さん

 今回のプロジェクトに協力した白百合醸造株式会社の内田社長は、「1滴の水も入っていないワインは、ぶどうで味が100%決まる。大変な努力を重ねて栽培されたぶどうからできたこのワインには、学生の魂が1滴1滴に込められているので、是非じっくりと味わってもらいたい。」と話します。

 今回は大学内で46kgのぶどうが収穫され、それに白百合醸造株式会社が山梨県産ぶどうを合わせて合計300kgのぶどうを醸造し、300本のワインが造られました。内100本がクラウドファンディングにてプロジェクトへの寄付を行った方々へのリターンなどに利用され、残りの200本はOBや一般に販売されています。

 紆余曲折を経て今回初めて完成したCUCオリジナルワインですが、次の目標は市川市産のぶどう100%のワイン作りです。元々10年に渡る長期のプロジェクトということで、学生の在学期間で収まるものではなく、メンバーは入れ替わりながら進みます。しかし、そんな中でも初代のメンバーから現メンバーへ想いが引き継がれていき、今回最初のワインを造ることに成功しました。創立100周年の2028年に向けて、これからもメンバーは変わっていきながらも、その想いは変わらず紡がれながらプロジェクトは進んでいきます。今回作られたワインは、軽やかな飲み口の中に、粗削りな若さと将来性を感じるワインでした。この味が2028年までにどう変化していくのか楽しみです。

販売情報
  • 販売価格 5,800円(税込)
  • 販売者  株式会社CUCサポート(千葉県市川市国府台1-5-24)
  • 購入方法 Webページ または 電話 ( 047-373-9784 ) にて

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